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移転しました [モビリティ]

今月よりTHINK MOBILITYは、

こちらで展開することになりました。

引き続き当ブログをよろしくお願いいたします。


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燃料電池車がすべてではない [モビリティ]

トヨタから世界初の市販燃料電池自動車(FCV)「ミライ」が発表されました。
驚いたのはその価格です。数年前までは数千万円と言われていたのに、
ミライは723万円で買うことができるからです。
発売に先駆けて試作車に乗りましたが、問題ないレベルに仕上がっていました。

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(写真提供:トヨタ自動車)

かなり前から、FCVは次世代自動車の主役だと言われてきました。
エネルギー源となる水素のの生成には別のエネルギーが必要で、
扱いには相応の注意が必要になるものの、
それ以外は、充填が数分で完了し、満タンで数百km走行可能であるところなど、
電気自動車(EV)と違い、内燃機関自動車との差が少ないことが大きいのでしょう。
しかしすべての自動車が燃料電池を積むことにはならないと考えます。

ミライ発表の数日後、アメリカ製EV、テスラ・モデルSのオーナーに会いました。
取材したモデルSは、満充電で460kmの走行が可能とされており、
オーナーの運転環境では、ほぼ自宅充電で賄えるそうです。
公共充電施設も、購入を考えている当時は不足してると感じていたものの、
その後拡充が進んだので、現在は十分だと思っているようです。
つまりこのオーナーにとってはEVこそ理想の次世代型自動車なのです。

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旧い新しい、速い遅いなど、近年の日本人はモノやコトに優劣をつけたがります。
でもFCVとEVには、それぞれに長所短所があります。内燃機関自動車もそうです。
環境問題など、社会的影響に配慮する必要はもちろんありますが、
基本的にはユーザーが自分の使用目的に合ったものを選べば良いことです。

たとえば鉄道の世界では、電車とディーゼルカー(気動車)があり、
電車のほうがディーゼルカーより進んでいるという意識を持つ人がいますが、
電車を走らせるには変電所や架線を用意するなど多大な出費が必要になるので、
運行本数の少ない路線はコストを考えてディーゼルカーという考え方もあるのです。

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20世紀は競争の時代、21世紀は共存の時代と、以前に書いたことがあります。
自動車と鉄道のどちらが優れているかを論じるよりも、
状況に合わせて自動車と鉄道を上手に使い分けましょうというメッセージです。
それと同じことが、FCVやEV、内燃機関自動車にも言えると思います。
エネルギーにおいても使い分け上手が求められているのではないでしょうか。


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浅草の外交力に注目 [まちづくり]

個人的に馴染み深い街のひとつに、浅草があります。
親の実家があった(今は小さな公園になってしまいましたが)土地だからです。
よって半世紀もの間、この街を外から眺め続けてきました。
街を歩く人たちが次第に歳を取り、商店街から賑わいが失われ、
シャッターを下ろす店が増え、というのが少し前までの浅草だったと記憶しています。
つまり多くの地方都市と似たような経過を辿っていました。

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それだけに近年の賑わいは驚くばかりです。なにより目立つのは外国人観光客です。
いまや浅草は東京でもっとも外国人が多い街のひとつではないでしょうか。
それにつられて日本人も、老若男女を問わず訪れるようになっています。
実は先週末、「環境(エコ)フェスタたいとう2014」のフォーラム
「エコ交通によるまちづくり」が行われたので参加してきたのですが、
そこでは、台東区を訪れる観光客が5年間で1000万人も増え、
年間5000万人と京都に近いレベルに達することが公表されていました。

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でも自然にこうなったわけではありません。
外国人が集まる店には、外国語表示が目立ちます。店員はもちろん外国語で応対します。
フォーラムを主催した浅草商店連合会の方に話を伺ったところ、
講師を呼んだり、レッスンを受けたりという努力をしているとのことでした。
それ以外にも、無料公衆インターネットや外貨引受けサービスなどを導入しており、
レストランではハラルフードやベジタリアンフードの研究を行っているそうです。

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さらに地元の小学生は、外国人観光客と英語で会話する課外授業を行っていました。
彼らが大人になって、地元の仕事に就けば、浅草のグローバル化はさらに進むでしょう。
観光案内所が、雷門前という絶好の場所に、ランドマークとしてあることもプラスです。
アイコンを多用しているので多くの人に分かりやすいことも好感が持てます。

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モビリティの面でも目につくシーンがいくつかありました。
東京メトロ銀座線浅草駅には、英語による主要繁華街までの経路案内がありましたが、
そこには都営地下鉄も書いてあります。事業者の枠を超えた取り組みがなされていました。
一方、羽田・成田両空港と直結する都営地下鉄浅草線浅草駅には、
外国人対応のコンシェルジュがおり、観光客からの問い合わせに応じていました。

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現在の浅草に問題がないわけではありません。
いちばん目立つのは、観光客が浅草寺周辺に一極集中していることです。
関係者もこの点は懸念しており、LRT敷設による活性化などを提案しているそうです。
浅草は年老いているように見えますが、中身は先駆的な考えであふれています。
2020年の対応に悩む東京の人たちも、中心市街地の閑散化に悩む地方の人たちも、
この街から学ぶことは多いのではないかという気がしています。


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ミズベリングって知ってますか? [まちづくり]

この言葉を聞いたのは初めてでも、意味は分かるという人が多いのではないでしょうか。
今年になってから生まれたアクションで、公式ウェブサイトによれば、
ミズベリング(MIZBERING)とは、「水辺+RING(輪)」の造語であると同時に、
常に現在進行形(ING)の気持ちで、水辺とまちが一体となった美しい景観を
未来へ創造しつづけるソーシャル・アクションワードだそうです。

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*ミズベリングのオフィシャルサイトはこちら

最近まで、日本の多くの都市は、川に背を向けているような状況でした。
人が歩けない、建物を作れないのが理由だったのでしょう。
しかし雑踏から切り離され、クルマが走ってこない水辺は、憩いの場所でもあります。
京都の鴨川を思い浮かべてもらえば理解できるでしょう。
一部の人たちがそれに気付き、それが輪になり、輪が広がって、
ミズベリングのスタートに結び付いたようです。

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たしかに少し前から、川を活用したアクションが目立ってきました。
このブログで紹介した「名橋たちの音を聴く」もそのひとつです。
また最近、隅田川の川辺を訪ねたら、両岸に遊歩道が整備されており、
隣接したビルには川向きのカフェなどが目立つようになりました。

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日本橋などの特殊な例を除けば、川の上は空です。
高層ビルが林立する中、空を眺められる、貴重な場でもあります。
その魅力が伝わりつつあるということでしょう。良い傾向です。

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ただ、せっかく整備しても、人が来てくれなければ話になりません。
だからこそ船や陸上交通との連携が重要です。
駐輪場がもっと多く用意されれば、気軽に立ち寄ることができるし、
駅の出口でアイコンを使って案内すれば、遠くから足を運ぼうという気になるでしょう。

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日本は島国ということもあり、昔から水運が盛んで、
大都市では早くから河川の整備や運河の敷設が進められました。
先日足を運んだ葛飾北斎の展覧会でも、その様子を窺うことができました。
水辺を見直すことは、この国がかつて持っていたまちづくりの良心を
取り戻すという意味で、有意義なアクションだと思っています。


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ランクルとはまなす [モビリティ]

最近、乗る機会の多いクルマのひとつに、今年8月に発売された
「ランクル70」ことトヨタ自動車のランドクルーザー70系があります。
1984年に登場したオフロード4WDで、日本では10年前に一度販売を終了しましたが、
今年誕生30周年を記念して、来年6月生産分までの期間限定で再販しています。
私は30年近く前のランクル70にも乗ったことがあるので、感慨ひとしおでしたが、
それとともに、同じ8月に乗った急行「はまなす」を思い出しました。

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こちらでランクル70の動画試乗記を見ることができます

2つの乗り物にはいくつかの共通点があります。
はまなすの登場は1988年で、ランクル70と同じ80年代の生まれです。
孤高の存在であることも両車に共通しています。
ランクル70は、多くのSUVが舗装路での性能を重視する傾向とは一線を画し、
オフロードでの走破性を第一に考えた設計を貫いています。
はまなすはJR唯一の定期急行列車で、定期夜行列車もほかに「北斗星」しかありません。

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どちらも、とびきり速いわけでも、楽なわけでもありません。
オフロード性能をなによりも重視して設計されたランクル70は、絶え間ない改良によって、
快適性能はかなり高まりましたが、高速性能はそこそこです。
はまなすは夜行列車なので、そもそも速達性は考えられておらず、
70年代に設計された特急用車両を使っているので、アメニティはそのレベルに留まります。
なのにこの2つの乗り物が魅力的に感じられるのはなぜでしょうか。

20世紀、乗り物は速さや快適さ、安心感、効率の高さなどを追求してきました。
それは移動していることを忘れさせる方向ではなかったかと考えています。
近年は多くの分野で、量的な豊かさより質的な豊かさを重視する傾向にあります。
移動で言えば、時間を忘れさせるのではなく、味わわせる方向になるでしょう。
自分が乗り物とともに時間を過ごしながら、距離を重ねていく。
それを体感するのに、ランクル70とはまなすは最適なパートナーになるのです。

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2つの乗り物は、消滅の可能性を秘めています。
ランクル70の国内販売が来年6月生産分までとされているのは、
現状のボディ構造では、その後の安全基準に適合しないためだそうです。
はまなすは2016年に予定される北海道新幹線新函館北斗開業に合わせて、
運転区間の短縮や列車そのものの廃止が噂されています。

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ランクル70を購入するには相応の資金が必要となりますし、
はまなすは青森や札幌に行って8時間を要さないと全区間走破できません。
それでも2つの乗り物を体験することは、移動を単なる機能としてではなく、
人に感動をもたらす行為という視点で見つめられる、価値あることだと考えています。


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これでいいのか自転車と原付の不思議な関係 [モビリティ]

今週はちょっと珍しい体験をしました。電動アシスト自転車と50ccスクーターを、
同じ日に、ほぼ同じ場所で乗り比べることができたのです。
個人的に所有している自転車は電動アシスト方式ではなく、
スクーターは150ccなので、別の世界の乗り物だと思っていたのですが、
電動アシスト自転車から50ccスクーターに乗り変えて、近い存在だと感じました。

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今回の取材は、今月26日発売の自動車雑誌NAVI CARSで、別々に紹介される予定です。
しかし50ccスクーターは「原付」つまり原動機付自転車と呼ばれており、
電動アシスト自転車と同じ「自転車」のカテゴリーに属することになります。
そこで自転車を名乗る2台の微妙な関係について考え直してみたというわけです。
どちらもエンジンやモーターを活用する自転車であることから、
「パワーサイクル」と一括して呼ぶこともできるのではないかと思います。

原付の規定は道路交通法と道路運送車両法で異なっていて、
道路交通法では50cc以下、道路運送車両法では125cc以下となり、
後者では第1種原付を50cc以下、第2種原付を125cc以下と分けています。
原付の規格が生まれたのは1952年。このときは90cc以下でしたが、
翌年現在と同じ、50cc以下の第1種と125cc以下の第2種に分かれています。
一方電動アシスト自転車が登場したのは1993年で、40年もあとのことです。

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つまりこの時点で半世紀近く前のルールと最新テクノロジーを分けて考えたことに、
そもそもの無理があるのではないかと感じています。
電動アシスト自転車は、ペダルを漕いで初めてモーターがアシストしますが、
20km/hは簡単に出せ、アシストが切れる25km/hにも楽に到達します。
第1種原付の法定最高速度は30km/hであり、差は5km/hしかありません。
なのに運転免許とヘルメット装着が義務づけられる現状は、どう考えても不可解です。

国内の2輪車メーカーは、原付規格の125cc以下への引き上げを求めているようです。
海外の小型モーターサイクルでは一般的なルールで、納得できる主張です。
しかし現状のように、普通自動車免許を取得すると自動的に原付免許が付いてくる方式は、
4輪車と2輪車の特性があまりに違うことを考えれば、違和感を持ちます。

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原付は道路運送車両法で規定されている125cc以下に道路交通法を合わせる代わり、
運転には2輪車の免許を、ハードルを下げて義務づけるのが自然だと考えます。
125cc以下の2輪車は高速道路を走れないなど、相応の制限があるわけで、
それ以上の2輪車より免許取得の基準を緩めるのは自然ではないかという気がします。
電動アシスト自転車が登場してすでに20年以上になります。
そろそろ「パワーサイクル」のカテゴリーを見直す時期ではないでしょうか。


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電車の音をBGMに音楽を味わう [コミュニケーション]

以前このブログでも紹介した、Design DOOのフィールドワークのひとつ、
都市楽師プロジェクト主催のイベント「名橋たちの音を聴く」が、
10月18日に日本橋川で開催されたので参加してきました。
橋の上には見る景色があるのに対し、橋の下には聴く景色があることや、
高速道路が発する音が予想以上であることなど、いろいろな発見がありました。
その中で聞くチェンバロの調べは、独特の響きとなって伝わってきました。

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*都市楽師プロジェクトのオフィシャルサイトはこちら

ところでこの「名橋たちの音を聴く」、来週末の11月1日にも行われます。
今度の舞台は神田川。秋葉原駅近くの和泉橋とお茶の水駅上の聖橋の間を、
バグパイプや打楽器の演奏と歌唱を楽しみながら、1時間で往復するものです。
この区間には道路橋の他、地下鉄丸ノ内線やJR総武線・山手線の鉄橋もあります。
鉄道好きにとっても、音楽好きにとっても、新鮮な時間になるのではないでしょうか。

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*Design DOOのFacebookページはこちら

さらにDesign DOOでは、これらフィールドワークを通して
サウンドスケープ(音の風景)に興味を持っていただいた方に、
その興味をさらに深めてもらう場として、講義や演習も実施します。
こちらは11月4日、18日、12月2日の3回行われます。
通しでの参加も、個別での参加も受け付けていますので、
ぜひ上のDesign DOO Facebookページよりお申し込みください。


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カー・オブ・ザ・イヤーの社会的意味 [ニュース]

2014-2015日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)が発表されました。
結果はオフィシャルサイトにあるとおりで、マツダ・デミオが受賞しました。
私は選考委員を10回、務めています。選考基準は、
もちろん時代によってシフトしていく部分もありますが、
近年は大きな柱として、社会的意味と移動の歓びの2つを考えています。

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*日本カー・オブ・ザ・イヤーのオフィシャルサイトはこちら

社会的意味というのは、環境性能や安全性能だけではありません。
たとえば少し前のブログで書いた車いすへの対応も、今の時代は重要です。
もちろん買いやすさ、使いやすさも例外ではありません。
移動の歓びというのは、速ければ良いというものではありません。
ボディやインテリアのデザイン、視界、乗り心地なども関係します。
とりわけ日本は低速短距離移動が多いわけで、乗り心地は大事だと思っています。

私はモータージャーナリストとモビリティジャーナリスト、2つの肩書きを持っています。
自動車以外の乗り物も扱うためだけに後者を名乗っているわけではありません。
乗り物の側から見るか、人の側から見るかの違いもあるのです。
自動車の側から見た場合は、流麗なデザインや高性能や先進技術は高く評価するので、
スポーツカーや高級車が有利になりがちです。
しかし人の側から見た場合は、多くの人がそれを手にし、役立てられるかが重要です。

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私のような考えは、COTYの選考では少数派であるようで、
上の写真のように、満点を投じた車種がCOTYにならない例が、しばしばあります。
満点を投じたい車種が選考対象の10ベストカーに残らないことさえあります。

それは当然のことではないかとも感じています。
COTYは約60名の選考委員がジャッジを下すわけで、さまざまな考えがあって当然です。
自分と異なる意見を否定するつもりはありません。個性は尊重します。
ただし個人的には、現在の自動車を取り巻く状況を考えると、
もう少し社会的な視点を持つべきではないかと思っているところです。


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東京の足を引っ張る交通インフラ [ニュース]

10月9日、世界の主要都市を対象に都市の総合力を評価し、順位付けした
2014年版「世界の都市総合力ランキング」(Global Power City Index=GPCI)が、
森記念財団都市戦略研究所から発表されました。
東京は昨年に続き、ロンドン、ニューヨーク、パリに続いて4位。
2008年の調査開始から7年連続で4位とのことです。

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*資料提供:一般財団法人森記念財団(ウェブサイトはこちら

この調査は、世界を代表する主要40都市を選定したうえで、
経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスを、
都市の力を表す主要6分野として選び、
現代の都市活動を牽引する経営者、研究者、アーティスト、観光客に、
生活者を加えた5つのアクターの視点に基づいて複眼的に評価したそうです。

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気になるのは主要6分野ごとの順位です。
東京は経済では首位、研究・開発では2位ですが、文化・交流は6位、居住は17位、
環境は9位、そして交通・インフラは10位となっています。
交通・インフラ別の順位を出すと、ロンドン、パリに次いでアムステルダムが入り、
ソウルや香港、シンガポール、イスタンブールなど、
アジアの他の大都市が東京の上にランキングされています。

もちろんこのランキングは、都市の魅力を物質的な基準で評価したもので、
ひとつの指標に過ぎず、絶対的な評価ではありません。
それに居住や環境のスコアが低いことは、多くの東京人が実感しているでしょう。
しかし鉄道やバス網が完備しており、正確な運行にも定評があるのに、
交通・インフラが10位であることに、疑問を持った人がいるのではないかと思います。

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6分野の内訳を見ると、東京の弱みは経済分野の「市場の魅力」「法規制・リスク」、
文化・交流分野の「集客資源」、居住分野の「居住コスト」、環境分野の「自然環境」、
交通・アクセス分野の「国際交通ネットワーク」「交通利便性」となっています。
国際交通ネットワークは、成田空港の存在が影響していることは容易に想像できます。
そこで交通利便性に絞って考えてみると、思い当たる点がいくつかあります。

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写真は新宿駅で撮影したものです。上の写真のJR切符売り場は、
路線図に描いてあるのはJRだけであり、券売機を含め、外国語表示がほとんどありません。
パリやアムステルダムの券売機は母国語以外に英語やスペイン語などが選択可能です。
下は都営地下鉄の券売機の上に掲示された路線図です。
同じ東京の地下鉄なのに、都営と東京メトロが完全に分けて書いてあります。
知らない人が見たら、同じ都市の路線図だとは思えないでしょう。

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2年前のこのブログで「ゾーン制」について書きました(こちら)。
世界の大都市の公共交通は、多くの路線が運輸連合というひとつの組織を形成し、
路線の名前を数字やアルファベットで統一、運賃も一体にする手法が一般的です。
そして前にも書いたように、外国人が来ることを前提とした表示を掲げています。
そんな状況をいくつもの都市で見てきただけに、なぜ東京の公共交通は、
いまなお会社ごとに独自の営業を行い、英語すらあまり表示していないのか不思議です。

つまり東京の公共交通は、整備されてはいるが、成熟していないのです。
これ以外にも、自転車レーンやコミュニティサイクルが整備途上であるなど、
この分野の問題は山積しているというのが正直なところでしょう。
運輸関係者、行政関係者など、東京の交通に関わるすべての人が、
現状を認識し、6年後へ向けて改善を図っていかねばならない時期に来ています。


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世界一クールな車いすの国を目指そう [ニュース]

2014年度のグッドデザイン賞が10月1日に発表されました。
審査結果についてはオフィシャルサイト(こちら)をご覧ください。
私は昨年度に続き、モビリティユニットの審査を担当しました。
もちろん昨年度とはさまざまな部分に違いがありました。
そのひとつが、車いすの応募、受賞件数の多さでした。

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*ヤマハ発動機JWスウィングを紹介したオフィシャルサイトはこちら

2013年度は1台がグッドデザイン賞受賞に留まっていましたが、
今年度は4台が受賞。うち2台、ヤマハ発動機のJWスウィング(写真上)と
橋本エンジニアリングのMC-X(下)はグッドデザイン・ベスト100になりました。
言うまでもなく、応募件数はそれを上回るものでした。

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*橋本エンジニアリングMC-Xを紹介したオフィシャルサイトはこちら

なぜ車いすの応募と受賞がここまで一気に増えたのか。
理由のひとつは東京オリンピック/パラリンピック開催決定でしょう。
パラリンピックが開催されるか否かでものづくりが左右されるべきでないという
意見もありますが、何かがきっかけで止まっていた歯車が動き始めるのは、
私たちの生活でもあることです。個人的には開催決定を契機に、
この業界のレベルアップが一気に進むことを希望しています。

JWスウィングは、ヤマハが以前から展開していた車いすの電動化技術に、
電動アシスト自転車のノウハウを織り込むことで、
自分の手足で移動したいという人間の本能をアシストするものです。
MC-Xは、脊髄損傷による歩行困難な人向けに最適化した設計となっており、
マグネシウム、カーボンファイバー、チタンなどの素材を用い、
レーシングモーターサイクルの経験を応用して軽量化と高剛性を両立しています。

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*スズキUTコンセプトのニュースリリースはこちら

また今週は東京ビッグサイトで、国際福祉機器展が開催されてもいました。
残念ながら会場に足を運ぶことはできなかったのですが、
前後の視認性を高め事故を防止する都市型電動車いす、スズキのUTコンセプト(上)や、
自動車乗車中に傾きを変え快適性を向上させるトヨタのウェルチェア(下)など、
これまでとは違った発想の展示が数多く見られたようです。

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*トヨタ自動車ウェルチェアのニュースリリースはこちら

車いすを利用する理由は千差万別です。本来は自転車や自動車のように、
さまざまなジャンルやメカニズムがあって然るべきだと考えます。
そういう視点に立つとき、日本が得意としてきたきめ細かさや先進技術は、
プラスになるでしょう。そしてそこに素晴らしいデザインが融合すれば、
世界に自慢できる日本ならではの車いすが完成することになります。

日本は世界最先端の高齢化社会であり、身障者を含めて、
車いすを必要としている人が多いことは確実です。そんな国で6年後、
パラリンピックが開かれるのです。これ以上の好機はありません。
人間の能力をアシストするという意味では、自転車も、自動車も、車いすも同じです。
これを機会に、世界一クールな車いすの国を目指していってほしいものです。


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